●「埋もれ木庵記」(2) 
平成二十五年九月
 二千十二年八月末、「アベさんの奥さんが見えて、あなたとお話ししたいそうです。」と携帯に電話があった。私は、自分の同級生の吉田晃敏学長が学長をしている旭川医大に目の手術の為め入院している姉をお見舞いし、富良野に帰るところであった。そのまま富良野の居酒屋クマゲラに向い、クマゲラの囲炉裏の部屋に通されると美しい夫人が笑顔で出迎えてくれた。その笑顔は若々しく知的でキュート、テレビで拝見した姿その侭であった。アベさんの奥さんとは、なんと元首相の安倍晋三さんの奥さんであった。何故のお呼びかお聞きすると。芦別岳にまつわる話がお聞きしたいようだった。
 芦別岳は夕張山地にある標高一七二七メートルの山で、私は中学生の時、担任の先生の引率で同級生と登山したことがあるが、北海の槍とも称される如く鋭く聳える山である。また大本教の出口王仁三郎師によれば国常立尊が隠退された山とされる。
 国之常立神(くにのとこたちのかみ)は、日本神話に登場する神であり天地開闢の際に出現した神である。私は、この大地創造の神が、地球環境激変、世界経済崩壊、政治システム不能のこの変革の時期に芦別岳より立ち上がり給い、産業、政治、経済システムを再び構築されると思っている。ご神体は心眼には山の八合目の高さまで裾野から立ち衣冠束帯の姿で上がられたお姿に写った。また出口王仁三郎師は、富良野に北海本苑を造り。「北海道は、日本の要この庭は要の巌に光り添えつつ」という歌を残している。私の北海道富良野市のお寺は『日蓮宗本要寺』という。またお寺のそばには、大きな『北海道の中心石』というものがあり歌と併せてみると感慨深い。
色々夫人と美味しいお酒も交えお話しが盛り上がったところで、私は「ところで旦那様はもう一度首相に成りますよ」申し上げた。夫人はうれしそうに「本当ですか」とおしゃられた。私はただ笑顔で答えた。それからまもなく安倍元首相は自民党総裁選に立候補され、総裁そして首相に就任された。

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